高齢者の居室の環境整備

高齢者の居室は、室温や温度の調整が必要です。

 

なぜなら、高齢になると、体温を調整する機能が衰えやすくなり、
温度の変化が心身に影響を及ぼすからです。

 

私たちヒトは、体温調節が容易に行えるような環境のときに、
快適さを感じます。

 

また、室温や湿度の測定は、利用者(要介護者)が寝ている高さで行いましょう。

 

適切な室温の目安

 

一般的に、適切な室温の目安としては、以下のようになっています。

 

春・秋: 成人(21〜27℃)・高齢者(22〜26℃)
夏  : 成人(25〜29℃)・高齢者(25〜29℃)
冬  : 成人(18〜24℃)・高齢者(21〜25℃)

 

室温は、50〜60%が適切です。

 

また、夏には外気との温度差を5℃以内にします。

 

室温と外気との温度差がありすぎると、
自律神経の働きが乱れます。

 

体温調節をしている自律神経の働きが乱れると、
体調を崩しやすくなり、
だるさ、頭痛、神経痛、下半身の冷え、関節痛、下痢、腰痛などの
症状が現れることがあります。

 

さらに、体感温度にも注意します。

 

たとえば、気温が同じ25℃でも、その日によって快適さは異なります。

 

これは、体感温度によるもので、体感温度は、気温と湿度、風速、気流により、
感じ方が左右されます。

 

不快指数は、気温と湿度を組み合わせたもので、
以下の算式で求められます。

 

 「不快指数=0.72×(乾球温度計の温度+温球温度計の温度)+40.6」

 

この不快指数が70を超えると、不快を感じ始める人が出てきて、
75を超えると、半数くらいの人が不快を感じ、
80を超えると、ほぼ全員が不快を感じるといわれています。

 

さて、高齢者の居室の環境整備では、「換気」も必要です。

 

換気の際に気をつけるのは、冷たい風が直接利用者に当たらないようにすることです。

 

特に衰弱している要介護者(利用者)は、
身体につめたい風があたり続けると、体熱の放散が続き、
体温が下がり、体調を崩すことがありますから注意しましょう。

 

窓を開ける場合は、カーテン越しにあけたり、
スクリーンをするというような工夫をすると良いですね。

 

扇風機の風なども、直接からだに当たらないように気をつけ、
風は天井や壁に当てて、室内の空気に動きを作るようにするのがベストです。

 

竹炭で消臭

 

汗のにおいや排泄物からのアンモニア臭を消臭する効果のある
竹炭を、積極的に使用してみてはいかがでしょうか。

 

竹炭の効果で、室内の空気がリフレッシュされます。

 

和紙に炭を包んでリボンを結んだり、
可愛い陶器のなかに入れるなどすれば、
オシャレなインテリアにもなります。

 

 

布団は10〜14時に干す

 

布団は、10時から14時くらいの間に干すと良いでしょう。

 

なぜなら、一日のうちで、10時から14時というのは、
日差しが強くなり、太陽の熱と紫外線によって、
高い殺菌効果が得られるからです。

 

布団を干す目的は、太陽の光に当て、熱や紫外線によって殺菌し、
汗などの湿気を逃し、ふっくらとしたふくらみを回復させるためです。

 

ヒトは寝ている間に、コップ1杯から2杯分の汗をかくといわれています。

 

しっかり干して、その湿気を逃したいのですが、
朝早くから夕方まで干しっぱなしにするのは、
布団に湿気を含むので逆効果です。

 

良く晴れた日に、湿度が低く、風通しが良い場所に干すようにしましょう。

 

天気が悪い日は、布団乾燥機を使用したり、
ホットカーペットの上に、しばらく布団を置くなど、工夫してみましょう。

 

また、布団を干した後、パンパンと叩く人がいます。

 

昔は、布団は干したら叩くと言うのが一般的でしたが、
叩くと、せっかく膨らんだ空気が抜けてしまい、
表生地や中綿が萎縮してしまい、布団が硬くなってしまいます。

 

ホコリのほとんどは布団の表面についているので、
ブラシや手で払うのみで十分でしょう。

 

取り入れた布団は、すぐに押入れにしまうのではなく、
しばらく室内に広げて、十分な熱を取除くようにすると良いですね。

 

 

居室は、要介護者にとって生活の場になります。

 

ですから、毎日気持ちよく、前向きに生活ができるように、
環境整備を行います。

 

寝床には、ベッドと和床があります。

 

利用者の状態に応じた寝床を選択します。

 

ベッド

 

ベッドの高さ: 40センチ前後が良いでしょう。

 

マットレス: 弾力性のあるものを選びます。

 

マットレスパット: 吸湿性に優れたものを選びます。

 

シーツ: マットレスやマットレスパッドを包み込むことができる丈と幅があり、
    吸湿性があり、洗濯に耐えられるものを選びます。

 

枕: 脊椎と頭が水平になる高さで、肩幅プラス20〜30センチほどの
  大きさのものを選びます。

 

かけ布団: かけ布団は、暖かく軽いものを選びます。

 

・ベッドのメリット

 

起居動作が容易で、介護しやすく、通気性が良く振動が伝わりにくい、
また、ホコリをかぶりにくく、夏は涼しく冬は温かい、掃除がしやすいという
メリットがあります。

 

・ベッドのデメリット

 

ベッドのデメリットといえば、転落の危険性があるということです。

 

利用者さんの状態に合わせ、転落防止対策も必要です。

 

和床

 

すのこ: 湿気対策として、下に新聞紙やドライシーツを敷き、時々交換しましょう。

 

タオルケット: 吸湿・吸水性に優れたものを選びます。

 

敷き布団: 吸湿性、保温性に優れたものを選び、10〜14時に日光に当てて、乾燥させます。

 

・和床のメリット

 

日本人の生活習慣に馴染みがあり、転落の危険性がなく、
這って移動することもできるというメリットがあります。

 

・和床のデメリット

 

ホコリをかぶりやすく、湿気が多く、振動が伝わりやすいというデメリットがあります。

 

疥癬の対処

 

疥癬とは、ヒゼンダニが皮膚に寄生することによって起こるものです。

 

感染力が強く、接触感染し、激しい痒みが起こります。

 

感染しやすい部分は、手指間、関節屈側、腋窩、乳房、陰部、下腹部など、
比較的皮膚の柔らかい部分で、小丘疹ができます。

 

疥癬に感染した利用者さんのベッドは、塩素系の漂白剤や酸性水で拭いて殺菌し、
リネン類は毎日交換する用にします。

 

50℃の湯に10分間浸し、死滅させてから洗濯を行うようにしましょう。

 

また、熱風乾燥機には、10分以上かけるようにします。

 

布団は毎日日光消毒をするか、乾燥機を使うようにします。

 

ベッドメーキング

 

ベッドメーキングを行うときは、一度ベッドの高さを上げ、
ベッドメーキング後には、40〜45cmに下げます。

 

これは、介護者の腰への負担を軽減するため、
また、作業を安全に、かつ容易に行う事ができるようにするためです。

 

ベッドが低い状態のままで作業を行うと、
介護従事者の腰に負担がかかります。

 

また、体の動きが小さくなるので、
同じ動作をするにも時間を要します。

 

ですから、ベッドメーキングをするときは、
ベッドの高さは、自分の身長の45%ほどの高さ、
およそ腰の位置程度まで上げ、
作業を終えたら、利用者が端座位の状態で床に足底が付き、
立ち上がりが安全に、かつ容易にできる高さまで
ベッドを下げておきます。

 

また、シーツ交換をする際は、シーツにシワやたるみを作らないようにします。

 

シワやたるみがあると、寝心地が悪苦なりますし、
局所が圧迫されて循環障害が起こり、
褥瘡を発生させてしまうリスクが高くなります。

 

・シーツの種類

 

シーツには様々な種類があります。

 

フラットタイプ: 一枚物のシーツです。

 

ボックスタイプ: マットレス様のシーツで、全てを覆うかたちではなく、
        裾周りにゴムが入っていて、マチがあるシーツです。

 

フィットタイプ: ボックスタイプのシーツですが、和式布団用のシーツで、
        マチがないものです。

 

カバータイプ: 布団の表裏を全て覆うタイプのシーツです。

 

・ベッドメーキングの仕方

 

寝心地が良く、寝返りをしてもシーツが乱れたり、
しわができないようにするためには、
ベッドをしっかりと作ることが必要です。

 

そして、そのためには、シーツの三角コーナーを
しっかりと作らなければなりません。

 

(1) フラットタイプ

 

フラットタイプのシーツを使う場合は、
三角コーナーを作ってシーツの崩れを防ぎ、
シワを整えながら敷きこみます。

 

(2) フィットタイプ

 

一箇所の角にシーツをかけて、残りの角にシーツをかぶせるようにし、
表面のシワを伸ばし、シーツを底部に入れ込んでいきます。

 

・シーツのシワのとり方

 

(1) シーツを手繰って持ち、マットレスの角に向けて対角線の方向に引きます。

 

(2) マットレスの角を支点にして、足元のシーツを垂直に下げます。

 

(3) シーツをしっかり持って、手前に引くように、
   マットレスの下に折り返します。

 

・マットレスの下にシーツを入れるときは手のひらを下向きに

 

マットレスの下にシーツを入れるときは、
ベッドの上面には凹凸があることが多く、
手のひらよりも皮膚が薄くて弱い手の甲を下にして入れ込むと
傷つきやすいため、手のひらを下向きにします。

 

タオルケットや毛布の足元はゆとりを

 

タオルケットや毛布をかけるときには、
足元にゆとりをもたせることで、尖足を予防します。

 

足が引っかからないように、足先の部分には、
上向きにダーツを取りましょう。

 

・尖足とは

 

麻痺がある高齢者や寝たきりの状態の高齢者で、
足関節が伸びたまま拘縮して生じるものです。

 

つま先が下がって立位になったとき、
かかとがつかない状態になります。

 

シーツ類の収納の仕方

 

シーツ類を収納するときは、全て同じたたみ方にして、
輪のほうを手前にして収納することで、
枚数を手早く確認することができ
外観を美しく見せることができます。

 

また、シーツは中表にしてたたみます。

 

利用者の肌に触れるほうに表が来るようにたたみ、収納しましょう。

 

また、シーツの上下の縫い代の折り返し部分(ヘム)を目印に、
上下を統一しておく事によって、清潔を保つようにしましょう。

 

・シーツのたたみ方の例

 

(1) シーツを中表(表が内側にくるたたみかた)にして縦に4つに折る。

 

(2) 横を5等分し、ヘム(シーツの上下にある折り返し/縫い代の部分)の
   広い方を1/5残し、横4つに折る。

 

(3) 1/5残した分を、横4つに折った上に折る。

 

ベッドブラシの使い方

 

ベッドブラシを使って、ベッドを掃除するときは、
チリが遠くへ飛ぶのを防ぐため、ホコリを立てないように、静かに、
ベッドの頭のほうから足のほうへ、中心から外側に向かって、
シーツからブラシの先を話さないようにしてチリを払うようにします。

 

シーツ等の目地にたまったゴミを掃き出すときは、
ブラシをタテにして使います。

 

ブラシをヨコにして使うと、掃き出す力が弱く不十分で、
目に付くゴミを取る事はできても、
張り付いたゴミをとりきることはできません。

 

ベッドブラシよりも、粘着紙のついたローラー等のほうが、
ほこりが出ず便利です。

 

また、利用者が一日の殆どを過ごす居室は、
ベッド、ベッド周りのみでなく、
居室全体の清掃も行い、常に清潔な環境で生活ができるように、
衛生的環境に十分配慮することが必要です。

 

掃除機の使い方

 

掃除機はゆっくりかけるようにします。

 

掃除機をすばやくかけすぎると、ほこりやゴミが持ち上げられても、
吸い込まれる間がないため、掃除ができません。

 

目安としては、畳一枚あたり1分間くらいのスピードで、
ゆっくりかけることをおススメします。

 

そして、掃除機を前後に動かすときは、
長すぎると端でノズルが浮き上がってしまい、
ホコリの取り残しの原因になりますから、
ストロークは30センチくらいを目安にしましょう。

 

また、掃除機の後から吹き出る排気にも注意が必要です。

 

排気で床のホコリやゴミが室内に舞い上がってしまいます。

 

ですから、掃除機の後の排気側を掃除が終わった方向に向けないように、
掃除を進める向きを考えたり、
掃除の際には換気をすることを忘れないようにするなどの工夫が必要です。

 

さて、掃除機の吸い込みスピードは、
時速200km以上ですから、新幹線並です。

 

ですから、吸引されたダニなどは、
ノズルに強烈に叩きつけられるので98%が死滅し、
残りの2%は、フィルターパックのなかで乾燥し、死滅します。

 

つまり、ダニは、掃除機で死滅させることができるというわけです。

 

シーツは糊付けしない

 

高齢者の皮膚は弱いので、糊付けはしません。

 

糊付けされたシーツと身体が摩擦を起こせば、
床ずれ(褥瘡)の原因になってしまいます。

 

シーツは布団を覆うことによって、
布団の汚れや損傷を防ぐ役割があります。

 

洗濯の替えとして、通常2枚以上準備しておくのが理想ですが、
寝たきりの高齢者のシーツは、
発汗や食べ物で汚れやすいので、丈夫で何度でも洗濯でき、
汚れが目立つ白のブロード地のシーツがおススメです。

 

また、失禁がある高齢者の場合は、
汚れやすい臀部のあたりのシーツの上に、防水シーツを敷きます。

 

・理想的なシーツ

 

吸湿性・保湿性に優れているもの。

 

肌触りが良いもの。

 

洗濯に耐えられるもの。

 

綿100%もの。

 

色が薄いもの。