要介護者の健康状態(呼吸)の把握

呼吸には、換気作用とガス交換作用があります。

 

外呼吸: 外界から酸素を取り入れ、二酸化炭素を掃き出す換気作用。

 

内呼吸: 肺胞と毛細血管で行われるガス交換。

 

この外呼吸と内呼吸のうち、私たちが呼吸というのは、
「外呼吸」を意味しています。

 

そして、呼吸は、吸息期、呼息期、休息期が一定のリズムで繰り返され、
呼吸数には、個人差があります。

 

基準値は、成人の場合、16〜20回/分で、
25回/分以上は頻呼吸、9回/分以下を徐呼吸といいます。

 

腹式呼吸と胸式呼吸

 

呼吸運動は、横隔膜と肋間筋によって行われ、
腹式呼吸では横隔膜を上下させる事によって、
胸敷き呼吸では肋間筋の働きで胸郭を広げる事によって、
呼吸運動を行います。

 

腹筋群が発達している男性では、
腹式呼吸の傾向が強くなりがちですが、
女性の場合は、腹筋群や衣服の関係で腹式呼吸が行いにくいため、
胸式呼吸の傾向が強いです。

 

新生児や乳児の場合は、肋間筋の発達が未熟のため、
また、高齢者では、肋軟骨が仮骨化し、胸郭が拡大しにくくなっているため、
腹式呼吸になります。

 

呼吸数の測り方

 

呼吸筋は、随意筋のため、測定している事に気づかれると、
意識的にとめたり速めたりすることができます。

 

ですから、呼吸数は本人に気づかれないように測ります。

 

脈拍測定後、そのまま指を手首の橈骨動脈にあてておき、
脈を測っているふりをして、
腹部や胸部の上下運動を一分間測定するようにします。

 

この時、呼吸数を数えるだけではなく、
呼吸の深さやリズム、規則的かどうかについても
確認するようにします。

 

呼吸困難の原因

 

肺や気管支の病気になると、肺活量が減り、排気障害が起こり、
血液中の酸素が不足するため呼吸困難が起こります。

 

また、神経や呼吸筋に障害が起きた場合も、
呼吸筋麻痺による換気不良が原因となり、呼吸困難になります。

 

呼吸困難の症状

 

呼吸困難になると、「息苦しい」、「息切れがする」などという
自覚症状が現れます。

 

その自覚症状は、人それぞれで、個人差があり、
介護者や看護師などに訴える表現のしかたも様々ですが、
呼吸をするときに、苦しさや不快感を伴います。

 

そして、呼吸困難の重症度は、
原因疾患の重症度と必ず一致するわけではありませんが、
原因疾患が進行すれば、呼吸をするための努力を要しますし、
呼吸に困難をきたし、他覚的にも呼吸困難の状態を確認することができます。

 

呼吸困難のときの観察

 

要介護者(利用者)が、呼吸困難を起こしているときは、
以下の点について観察します。

 

(1) 体動時に起こるものか、或いは、安静時に起こるものか。

 

(2) 突然起こったものか、或いは、以前から慢性的に起こっているものか。

 

(3) 随伴症状(咳・淡・喘鳴・胸痛・浮腫・チアノーゼ(指先、口唇)、
   意識、脈拍、血圧など)の確認。

 

(4) 努力呼吸(鼻翼呼吸・下顎呼吸・あえぎ呼吸・口すぼめ呼吸・
   起座呼吸など)をしているかどうか。

 

呼吸困難の時は、起座位をとってもらう

 

身体を起こすと、下肢や腹部の静脈に血液が溜まり、
心臓に戻ってくる血液が現象します。

 

すると、肺うっ血が軽減されるので呼吸が楽になります。

 

ですから、呼吸困難のときは、起座位をとってもらいます。

 

起座位になるときは、上体を起こし、前に少し倒れ、
布団に寄りかかってもらったり、
オーバーテーブルの上に枕などを置いて、
うつぶせになってもらいます。