要介護者の褥瘡のケア

長期間、仰臥位で寝ていると、仙骨部に褥瘡ができやすくなります。

 

これは、仰臥位でいると、体重の半分近くが仙骨部に加わり、
血行障害を起こすためです。

 

褥瘡は、限局性の圧迫が大きな原因になります。

 

局所の圧迫は、一定以上になると、皮膚の血流を途絶えさせ、
壊死を生じ、褥瘡になってしまいます。

 

特に、骨の突出が多い部分で皮下組織が少ない部位、
体重がかかる部位、ズレが生じやすい部位は、褥瘡が発生しやすいので
注意が必要です。

 

また、仰臥位では、仙骨部に褥瘡ができやすいですが、
側臥位では、腸骨部や大転子部に褥瘡ができやすくなります。

 

運動障害や知覚麻痺のある高齢者(要介護者・利用者)は、
自ら徐圧することができずに、
圧迫が続く事になるので、褥瘡ができやすいのです。

 

褥瘡の発生原因

 

(1) 圧迫

 

褥瘡の最も大きな原因は「圧迫」です。

 

長時間、同じ体位でいると、圧迫されている部分が褥瘡になりやすくなります。

 

(2) 身体の不潔と湿潤

 

汗や尿、食べこぼしなどが皮膚に長時間ついていると、
汚染と湿潤によって、褥瘡ができやすくなります。

 

(3) 摩擦やズレ

 

摩擦やズレも、褥瘡の発生原因になります。

 

ベッドのギャッチアップなどによる摩擦やズレ、
のりの利きすぎたシーツなどに注意しましょう。

 

(4) 低栄養

 

低栄養により、痩せすぎて、皮下脂肪が少なくなると、
褥瘡が発生しやすくなります。

 

円座は使わない

 

褥瘡を予防するために、円座を用いたいという人もいますが、
円座を使用すると、かえって皮膚がひっぱられ、
円座との接触部位が虚血状態になるので、
褥瘡が発生しやすい状況を作ってしまうことになります。

 

ですから、褥瘡予防のために、円座を使用してはいけません。

 

かかとの褥瘡を予防したいのであれば、
下腿全体にクッションを当てるようにして、
かかとを浮かせるようにすると良いでしょう。

 

褥瘡の初期状態のマッサージは禁忌

 

皮膚の表面が赤い状態という褥瘡の初期段階で、
マッサージをすると、皮下組織の炎症を進行させる刺激になります。

 

表面が赤いのは、毛細血管が脆くなっている状態ですから、
褥瘡対策としてマッサージをするのは絶対禁物です。

 

エアマットを敷いたり、体位変換などによって徐圧をし、
皮膚の清潔に務めるようにしましょう。

 

褥瘡の種類とその症状

 

IAET(国際ET協会)の褥瘡の分類は、以下のようになっています。

 

・I度

 

局所の圧迫を除いて30分経過しても、皮膚の赤みが消えない状態。

 

・U度

 

損傷が皮膚から真皮までに及んでいる状態。

 

水泡やびらんが生じ、痛みを伴います。

 

・V度

 

損傷が皮下脂肪にまで及んでいる状態。

 

滲出液や感染の可能性があります。

 

・W度

 

損傷が、皮下脂肪を越えて筋肉や骨、関節などにまで及んでいる状態。

 

滲出液や感染の可能性があります。

 

褥瘡予防のための体位変換

 

褥瘡の予防のために、自分で体位を変換できない要介護者に対しては、
骨突起部の皮膚や筋肉に加わる圧迫を除去することが必要で、
そのために、規則的に2時間ごとの体位変換を行います。

 

ただし、この場合の「2時間」というのは、個人差もあるため、
それぞれの要介護者の状態に応じて時間を決めていきますが、
圧迫除去のための体位変換は、規則的に行う事が必要です。

 

さて、褥層予防のために体位変換をする場合、
90度側臥位にはしません。

 

なぜなら、90度側臥位では、仙骨部の圧迫を避けることはできますが、
大転子や腸骨部に体重がかかり、
褥瘡の発生リスクが高くなるからです。

 

そこで、骨の突出のない臀部の筋肉で体重を支えることができる
30度側臥位とするのが基本になっています。

 

褥層は、200mmHg以上の持続的圧迫が2時間以上続いたり、
弱い圧迫でも長時間持続されると壊死が起こり、褥瘡になってしまいます。

 

褥瘡予防のための体位変換のスケジュール例

 

 2時間仰臥位→2時間右30度側臥位→2時間仰臥位→2時間左30度側臥位

 

褥瘡予防のための体位変換は介護者2名で行う

 

体位変換のときは、ベッドからの転落の危険性もありますし、
摩擦やズレを生じることもあります。

 

ですから、体位変換はできれば、介護者2名で行うようにします。

 

褥層予防のためのギャッチアップは30度以下に

 

寝たきり状態でいると褥層になりやすいので、
ベッドのギャッチアップを検討するのですが、
その際、30度以上にベッドをギャッチアップすると、
臀部で体重の大部分を受け止めることになってしまい、
寝ている状態よりもさらに大きな圧力がかかってしまうことになります。

 

さらに、30度以上のギャッチアップは、身体がずり落ち、
仙骨部の筋肉が重力によって下方に移動してしまいます。

 

すると、ベッド上に密着している皮膚表面は、
皮膚組織のズレが起き、血管が引き伸ばされ、閉塞が生じ、
血行障害が起きるので、褥瘡になるリスクが高くなります。

 

このようなことから、ギャッチアップをするときは、
身体がずり落ちないように、まず膝を曲げ、
上体は30度まで起こすようにします。

 

褥瘡予防には栄養のバランスが必要

 

栄養は、皮膚組織の耐久性に大きく影響します。

 

ですから、バランスのとれた栄養が、褥瘡予防には必要です。

 

低栄養になり、痩せてしまうと、皮下脂肪が減少し、
皮下に骨隆起が起こりやすくなります。

 

また、高齢者は、体脂肪や筋タンパクが少なくなると、
皮膚圧迫の持続に耐えられなくなるので、
褥瘡の発生率が高くなります。

 

褥瘡の予防・治療ガイドラインでは、褥瘡予防の指標は、
「血液中に含まれるアルブミン=3.0g/dl以上(できれば3.5g/dl)、
ヘモグロビン=11.0g/dl以上」となっています。

 

これは、低アルブミン血症では、浮腫や皮膚弾力性の低下がみられ、
低ヘモグロビン血症では、皮膚組織耐久性がみられるためで、
このような症状は、褥瘡の発生や治療に大きく影響するからです。

 

要介護者(利用者)が、適切な栄養素を効果的に摂取することができるよう、
場合によっては栄養剤やタンパク捕助食品を利用するなどして、
低栄養状態の改善を目指すことが大切です。