要介護者の入浴の介助

要介護者の入浴前は、必ずバイタルサインのチェックを行います。

 

これは、体調の確認のために行います。

 

入浴は、エネルギーの消耗が大きく、
特に呼吸器や循環器系への影響が大きいです。

 

ですから、入浴前にバイタルサインのチェックを行い、
体調の確認をして、入浴の適否を判断することが必要です。

 

また、顔色や表情などの一般状態の確認もします。

 

高齢者の場合、身体の異常が明確に現れないことが多いので、
本人の気分が優れない場合は、
無理に入浴を勧めないほうが良いです。

 

●入浴前に排泄を促す

 

身体が湯に触れると、「水」というインスピレーションから
尿意を催すことがあるので、
入浴前に排泄を促すようにしましょう。

 

入浴中に排尿を生じると、利用者自身も困惑しますし、
介護者も焦ってしまいます。

 

排尿を済ませて、ゆったりと入浴してもらうようにしましょう。

 

●脱衣室を温めておく

 

脱衣したときや湯上りに温度差が大きいと、
血圧の急激な上昇など、事故を招くことがあります。

 

ですから、脱衣室や浴室の温度を24〜26℃程度に温めておきましょう。

 

高齢者に対しては、温度差によって起きるヒートショックに、
十分注意しなければなりません。

 

暖房が効いた部屋から寒いところへ移動すると、
健康な成人でもい20くらいの血圧の変動があります。

 

急激な血圧変動を繰り返していると、
血管がもろくなり、破れたり詰まったりして、脳卒中や、
狭心症などを起こしやすくなります。

 

●お年寄りにさら湯はいけない

 

お年寄りに「さら湯」はいけないといわれるのは、
家族が入浴した後の浴室は暖まっていること、
また、高齢者に適した低い湯温になるからです。

 

風呂の蓋を開けたまま給油すると、浴室内が温まり、
湯温は下げることができるのでおススメです。

 

●入浴前後は水分補給

 

入浴前後には、必ず水分補給をしてもらいましょう。

 

入浴中は、発汗や利尿作用の促進で体内の水分が失われ、
血液の粘着度が高くなります。

 

ですから、脱水や脳梗塞などの予防のためにも、
入浴の前と入浴の後には、水分補給をしましょう。

 

水分の量は、コップ一杯程度、
スポーツドリンクや、ビタミンCを多く含んだもの、
ミネラルが豊富なものなどがおススメです。

 

好みのものでおいしく飲んでもらうと良いですね。

 

●長湯は良くない

 

高齢者の入浴の「長湯」はよくありません。

 

利用者の体力消耗を少なくし、
疲労を少なくするために、長湯を避けましょう。

 

また、血圧が低い場合、ぬるま湯に長時間入っていると、
立ちくらみを起こすこともあります。

 

私たちの体は、38〜40℃の湯の中で温められた血液が全身を巡ると、
身体が温まります。

 

ですから、高齢者の入浴所要時間は、20分程度が目安です。

 

浴槽へ浸かるのは、みぞおちの下までで、
3分程度が疲労が少なく望ましいです。

 

上半身が出ているので、肩にタオルをかけたり、
浴室内の温度を暖かく保つようにします。

 

●入浴の作用(温熱作用)

 

入浴には、身体を温める作用(温熱作用)があります。

 

・不感温度(34〜37℃): 熱くも冷たくも感じない温度です。

 

・微温浴(37〜39℃): 身体を休ませる副交感神経を刺激し、心身をリラックスさせます。
            心拍数や血圧の変化も少ないです。

 

・温浴(39〜42℃): 交感神経を刺激し、心拍数が増え、血圧が上がります。

 

・高温浴(42℃〜): 血行が良くなり、新陳代謝が高まります。
           心臓などへの負担が大きくなります。

 

●入浴の作用(静水圧作用)

 

水面下に沈んだ身体の深さに応じ、
体表に水の重さの分の圧力(静水圧)が加わる作用の事を「静水圧作用」といいます。

 

・全身浴

 

全身浴の場合は、腹囲が収縮し、横隔膜が持ち上がり、
胸囲が収縮するので、心臓に負担がかかります。

 

・半身浴

 

半身浴の場合は、下半身に静水圧がかかり、
全身の血液循環が促進され、疲労回復が早くなります。

 

・仰臥位入浴

 

仰臥位で入浴する場合は、静水圧は殆どかかりません。

 

●入浴の作用(浮力・粘性作用)

 

水中では、浮力によって体重が空気中の1/9程度に身体が軽くなります。

 

一方、水中で運動している部分に抵抗があるので、
粘性作用もあります。

 

ですから、運動機能が低下している人に対して、
浮力や粘作用を活用したリハビリテーションとして
水中での運動が勧められ。行われます。

 

●入浴の作用(その他)

 

そのほか、入浴には、血行を促進させる事による筋肉のはりの緩和、
喉の痛みや花粉症などの呼吸器障害の緩和、
皮膚を柔軟にし、荒れた肌を整える作用などがあります。

 

●入浴は、食前食後1時間以内は避ける

 

食前、食後に入浴をすると、皮膚の血管が拡張します。

 

すると、血流量が減り、消化吸収が低下しますから、
食後の入浴は避けましょう。

 

また、入浴は疲労感を伴いますから食前は避けたほうが良いでしょう。

 

●片麻痺がある場合の入浴介助

 

片麻痺がある要介護者(利用者)の入浴介助を行うときは、
入浴台からバスボードへ移動し、健側の足から入り、
次に麻痺側の足を持ってゆっくりと浴槽に入れます。

 

介護者は、身体が反り返るので、肩や背中を支えましょう。

 

麻痺がある場合は、知覚の低下があるので、
湯の温度を的確に察知することが難しいです。

 

ですから、片麻痺のある要介護者(利用者)は、
浴槽の湯の温度が分かるようにするため、
浴槽に健側から入ります。