要介護者の排泄の介助

排泄行為は、他者に援助を求めにくい行為のため、
「利用者から頼まれる前に」、「頼まれたらすぐ」と言われます。

 

要介護者(利用者)は、尿意や便意を催したとき、
「介護職員は忙しそうだから、もう少し待ってから頼もうかな?」とか、
「何かのついでに寄ってくれないかな?」とか、「呼びにくいな。」
などと考えていたりするものですし、
ベッド上で羽生津をするときには、「恥ずかしい。」、
「音や臭いが迷惑にならないだろうか?。」、
「時間がかかったら悪いな。」、「ひとりでトイレに行けたらどんなに良いか。」
などと思っています。

 

要介護者(利用者)が、排泄介助を受けることに、
羞恥心や負い目を感じることを十分に理解し、
なるべく気兼ねなく介助を依頼してもらえるように配慮をしましょう。

 

排泄介助の原則

 

(1) 尊厳を守る

 

ヒトは、誰もが「下の世話にだけはなりたくない。」と願っています。

 

排泄介助を行うときは、その気持ちを十分に察し、理解し、
常に快く対応するようにしましょう。

 

また、特にプライバシーを考える事、
視覚的なことに配慮すること、
音や臭いに対する配慮も十分に行われることが必要です。

 

(2) 自立に向けた支援

 

尿意、便意が自立した排泄のきっかけになります。

 

トイレまでの移動ができ、衣服の着脱をし、排泄姿勢を確保し、
後始末が可能であることが、排泄の自立です。

 

要介護者(利用者)が、どの部分で、どのような支援が必要であるのかを分析し、
援助することが必要です。

 

(3) 清潔の保持

 

陰部や臀部は不潔になりやすい部分のため、
排泄の介助は、一貫して清潔に心がけることが大切です。

 

(4) 安全性と安楽性を確保する

 

高齢者は、排泄に伴って状態に変化が起こります。

 

常に安全に注意し、安定した介助を行う事が求められます。

 

排泄介助のときは介護者は利用者から離れる

 

排泄行為は、プライベートなことです。

 

ですから、排泄介助のときは、介護者は利用者から離れるようにします。

 

また、プライバシー保護のため、肌の露出時間はなるべく少なくする配慮も必要です。

 

ポータブルトイレで排泄するときは、
ポータブルトイレの前に移動してから、下着の着脱をし、
ポータブルトイレに座った後は、バスタオルを膝の上にかけるなどします。

 

排泄は様式便座が望ましい

 

一般的に、足腰が弱くなった高齢者が立ったり座ったりする場合は、
和式よりも様式便座のほうが便利です。

 

また、和式よりも、様式便座のほうが腹圧をかけやすく、
排泄しやすくなります。

 

和式便座を様式便座として使う場合は、
和式便座の上に置くだけで、様式便座として使用することができるものもあるので、
そういったものを利用すると良いでしょう。

 

また、リウマチ等で膝に痛みがあったり、
立ったり座ったりすることが難しい要介護者(利用者)には、
補高便座を使い、便座を高くすることで、
動作を楽にすることができます。

 

ベッド上で排泄するときは上半身を上げる

 

排泄行為には、腹圧と重力が作用するので、
まっすぐに寝たままの状態では、
腹圧や重力をかけることが難しいです。

 

少しでも座位に近い状態にして、
上半身を上げる事によって横隔膜が下がり、
腹圧をたかめることができます。

 

ベッド上で排泄するときには、
膝をまげて膝頭をつけると、いきみやすくなります。

 

また、膝をたてることにより、直腸が伸展するので、
便が肛門のほうへ移動します。

 

排泄体位を整えるときは、タオルをかけて、
プライバシーを十分に保ち、
安心して排泄を行う事ができるように配慮します。

 

腰を上げられない要介護者への便器の当て方

 

腰を上げられない要介護者(利用者)に便器を当てるときは、
厚みのある座布団を向こう側の横に置いて、
その上に腰が乗るように側臥位にします。

 

その状態で便器を当て、仰臥位にします。

 

ベッド上で女性に便器を使用するとき

 

ベッド上で便器を女性に用いるときは、
排尿時の尿の飛び散りや音の防止のため、
便器の中にもトイレットペーパーを置き、
トイレットペーパーを細長く折って、陰部にあて、
その先端を便器に入れます。

 

また、便器とベッドの隙間には、
バスタオル等を敷くと、背部の違和感が解消でき、
安心して排泄ができます。

 

女性の陰部の拭き方

 

女性の陰部を拭くときは、肛門から背に向かって拭きます。

 

肛門部に付着している大腸菌などが尿路に入ると、
感染症を起こしてしまいます。

 

ですから、排便後は、肛門から背中に向かって拭きます。

 

また、排尿のときは、排便の有無に関係なく、
尿道口から肛門に向かって拭くようにします。

 

便意や尿意を催す理由

 

直腸や膀胱に一定量の便や尿が溜まると、
神経に刺激が伝わるので、
大脳で便意や尿意を感じるようになります。

 

便意のメカニズム

 

便意を催すのは、便が直腸に入り、一定の圧力がかかると、
直腸壁に分布している骨盤神経が刺激されるからです。

 

この刺激は、脊髄を通して大脳に伝えられ、便意を感じます。

 

便意を我慢することができるのは、外肛門括約筋を意識的に収縮し、
肛門の閉鎖を補強しているためです。

 

直腸に便が溜まり、便意が起こっても、
意識的に抑制していると外肛門括約筋が緊張し、
排便反射が抑制されて便意が消失します。

 

尿意のメカニズム

 

尿意を催すのは、膀胱内に200ml前後の尿が溜まり、
膀胱内圧が上昇し、末梢神経が刺激されるからです。

 

この刺激は、知覚神経や脊髄を通って延髄の端にある
排尿中枢に伝えられ、その刺激が大脳に伝わって、尿意を感じます。

 

腹圧性尿失禁

 

咳やくしゃみなどによって、腹圧がかかると、
尿が漏れてしまうことがあります。

 

これは、骨盤の底に広がる筋肉が弱くなるためで、
少しの圧力がかかっただけで出口が開いてしまいます。

 

腹圧性尿失禁の殆どは、尿道が短い女性に見られます。

 

また、出産や肥満、加齢などによって骨盤底筋群が緩みやすくなり、
尿漏れの原因になります。

 

ですから、腹圧性尿失禁は、肛門と膣を「緩める」、「締める」の運動を
繰り返す「骨盤底筋体操」を行うことによって改善されます。

 

骨盤底筋体操は、尿道や他の骨盤底筋群を一緒に締めることができるので、
下腹部、股間、肛門の一体に広がる筋肉を強くすることができます。

 

切迫性尿失禁

 

切迫性尿失禁は、トイレに行くまで尿意を我慢できずに、
もらしてしまう状態のことをいいます。

 

居室をトイレの近くにするのが望ましいのですが、
尿パットなどで、万が一の場合に備える工夫をするのも良いでしょう。

 

溢流性尿失禁

 

溢流性尿失禁は、尿が膀胱内に充満し、少しずつ漏れてしまう状態です。

 

前立腺肥大などが原因になっていることが多く、
医療的な処置が必要になります。

 

機能性尿失禁

 

機能性尿失禁は、膀胱や尿道の機能は正常であるにもかかわらず、
認知症やADLの障害、適切な介護が行われなかったことなどによって、
尿失禁がおきてしまう状態です。