要介護者の口腔の清潔

口腔内を清潔にし、虫歯や歯周病、誤嚥性肺炎を予防するために、
口腔ケアを行います。

 

虫歯

 

虫歯とは、食べ物と虫歯菌によって歯垢が形成されて歯に付着し、
虫歯菌が産み出す酸により、歯の硬組織が溶け出した状態をいいます。

 

虫歯予防のために、歯のかみ合わせの溝、歯と歯の接触する部分、
歯と歯肉の境界線など、歯垢が溜まりやすい部分の口腔ケアは、
特に注意して行うようにしましょう。

 

歯周病

 

歯の周囲に付着した歯垢が、歯と歯肉の隙間に入り込むと、
歯を支えている骨が解けてしまいます。

 

これが歯周病で、歯周病には、
歯肉が腫れる、歯肉が出血する、口臭がある、
歯がぐらぐらするなどの症状が現れます。

 

成人の歯周病は、30歳くらいから、
加齢と共にゆっくり進行しますが、自覚症状がないのが厄介です。

 

誤嚥性肺炎

 

誤嚥によって、口腔内の細菌や、胃から逆流した内容物が、
気管から肺に入り、炎症を起こすものを「誤嚥性肺炎」と言います。

 

誤嚥性肺炎は、「嚥下性肺炎」とも呼ばれます。

 

口腔ケアの方法

 

口腔ケアは、ブラッシング、清拭、含嗽を行います。

 

・ブラッシング

 

歯ブラシは鉛筆を持つようにもって、
歯と歯肉の境、歯の根元に毛先を差し込むようにして細かく振動させます。

 

 フォーンズ法: 歯ブラシは歯面に対して垂直に当て、歯の方向に回転させます。

 

 スクラッピング法: 歯面に対して、歯ブラシを垂直にあて、左右小刻みに動かす磨き方です。

 

 バス法: 歯と歯肉の境目に歯ブラシの毛先を45度にあてて、横方向に小刻みに動かします。

 

・清拭

 

清拭は、歯や舌、頬などをスポンジブラシや綿棒を用いたり、
手にガーゼを巻いたりして、清拭剤に浸すなどして行います。

 

ブラッシングができない場合でなくても行います。

 

・含嗽(がんそう)

 

含嗽(がんそう)とは、うがいのことです。

 

うがいは、食べ物のカス(食物残渣)を取除くだけでなく、
口腔を湿潤させる効果もあります。

 

片麻痺のある要介護者の口腔ケア

 

片麻痺のある要介護者(利用者)の口腔ケアをするときは、
麻痺側の口腔内をより丁寧にケアをすることが必要です。

 

麻痺のある要介護者は、麻痺がない方で咀嚼し、
嚥下を行いますが、麻痺側に食べ物が残ってしまいがちです。

 

なるべく自分で口腔ケアを行ってもらうので、
健側の手で握りやすい柄の歯ブラシを使用します。

 

もし、口腔内に麻痺がある場合は、まず嗽をして、
麻痺側にたまった食物残渣をスポンジブラシ等で除去します。

 

義歯の保管方法

 

義歯は、ほこりの侵入を防ぎ、清潔を保つことができるように蓋つきの
不透明の容器に水を張って保管します。

 

水を張るのは、義歯が容器にぶつかって破損することを防ぐためで、
不透明な容器に入れるのは、外部から、義歯が見えないようにするためです。

 

義歯の清掃法

 

義歯は、口腔内から取り出したら、義歯用の歯ブラシで、
流水を用いて洗います。

 

歯磨剤や漂白剤、熱湯の使用は避けるようにし、
清掃後は、不透明の蓋付き容器に水を張って保存しましょう。

 

総義歯の外し方

 

一般的に、外すときは、下あごからはずします。

 

一般的に、装着するときは、上あごから行ないます。

 

下あごは、親指と人差し指で前歯をつまんで、
軽く前後に動かして浮かせてはずします。

 

上顎は、前歯の部分を親指で持ち、
口蓋の部分を人差し指で持って、
斜め下前方に小刻みに動かしながら、義歯の後に
隙間を作るようにするか、
義歯と頬の間に指を入れて外します。

 

総義歯の着け方

 

総義歯を着けるときは、要介護者(利用者)に、
口唇と頬粘膜の力を抜いてもらって、
口角を横にひっぱるようにして着けます。

 

噛む事によって得られるメリット

 

ものを噛んで食べることによって、様々なメリットがあります。

 

・味覚の発達を促すことができる。

 

・発音をはっきりさせることができる。

 

・脳の働きを活発にすることができる。

 

・歯の病気を防ぎ、口臭を少なくすることができる。

 

・胃腸の働きをよくすることができる。

 

・全身の体力向上とストレスの解消に効果が得られる。

 

・肥満を防ぐことができる。

 

経鼻胃管栄養や胃ろう栄養の場合も口腔ケアが必要

 

経鼻胃管栄養や胃ろう栄養を行っていて、
口から食べることができない要介護者(利用者)に対しても、
必ず口腔ケアを行います。

 

なぜなら、経口摂取をしていない人は、口腔内が乾燥し、
汚れが目立ち、口臭が発生したり、誤嚥性肺炎の危険性が高くなるからです。

 

経鼻胃管栄養の方の口腔ケア

 

経鼻胃管栄養を行っている方の口腔ケアでは、
まず、チューブが確実に固定されているかを確認し、
座位になってもらって、口腔ケアを行います。

 

ブラッシングを行うときは、チューブに触れないように注意し、
誤嚥防止のために、気管のほうに水が流れないように嗽をします。

 

また、栄養剤の注入中や、栄養剤の注入終了後30分以内の口腔ケアは避けます。

 

8020運動

 

「8020運動」=「ハチマルニイマル運動」をご存知ですか?

 

8020運動とは、厚生労働省や日本歯科医師会により提唱され、推奨されている運動で、
80歳になっても、自分の歯を20本以上持とうというものです。

 

高齢者で、20本以上の歯を持っている人は、
それ未満の人に比べると、活動的で、寝たきりになることも少ないといわれています。

 

また、20本以上の歯があれば、殆どの食べ物を噛み砕くことができるので、
健康的にも栄養的にも良いのです。

 

歯を大切にしましょうね。